【温泉の違いまとめ】硫黄の白いお湯とアルカリのトロトロ湯は何が違う?泉質・pH・源泉かけ流しを図解

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【温泉の違いまとめ】硫黄の白いお湯とアルカリのトロトロ湯は何が違う?泉質・pH・源泉かけ流しを図解

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2026年9月の新潟・長野・群馬旅行では、4つの温泉に入りました。上越妙高駅前の釜ぶたの湯、万座温泉の万座プリンスホテル、丸沼温泉の環湖荘、そして帰り道に寄った秩父温泉 満願の湯です。

あとでそれぞれの泉質を調べてみると、pH約2.5の酸性のお湯からpH9.3のアルカリ性のお湯まで、性質はまったく違いました。さらに、加水しているお湯、加温しているお湯、加水も循環もしていないお湯と、浴槽に届くまでの扱いもばらばらです。

この記事では、旅行で入った温泉と日本の有名温泉を例にしながら、温泉の違いを表と図で整理します。

この記事でわかること

  • 硫黄泉が白く濁る理由と、アルカリ性の湯がトロトロする理由
  • 「泉質」と「pH」は別もの。温泉を2つの軸で見分ける方法
  • 草津・有馬・下呂・別府・玉川など有名温泉の泉質の傾向
  • 「源泉かけ流し」と加水・加温・循環の違い、温泉分析書の読み方

まずは基本:「温泉」と「療養泉」は違う

「温泉」の条件は温泉法で決まっていて、地中から湧く水やガスのうち、湧き出したときの温度が25℃以上あるか、法律で定められた成分のいずれかを一定量以上含んでいれば温泉です。

その温泉のうち、治療の目的にも使えるものを「療養泉」といい、環境省の「鉱泉分析法指針」で10種類の泉質に分けられています。宿の案内でよく見る「単純温泉」「硫黄泉」といった名前は、この療養泉の泉質名です。

温泉法上の温泉でも療養泉にあたらない場合は泉質名がつかず、分析書には「温泉法第2条の別表に規定する○○の項により温泉に適合する」のように書かれます。

療養泉の10種類

泉質主な特徴
単純温泉溶けている成分が1kgあたり1,000mg未満で、25℃以上。無色透明でにおいも少なく、刺激が少ない。日本でいちばん多い泉質。pH8.5以上のものは「アルカリ性単純温泉」
塩化物泉塩化物イオン(塩分)を多く含む
炭酸水素塩泉「美肌の湯」の代表格。皮脂を乳化して、古い角質をやわらかくするといわれる
硫酸塩泉硫酸イオンを多く含む
二酸化炭素泉炭酸ガスが溶け込んだ温泉
含鉄泉鉄分が多く、空気に触れると酸化して褐色になる
酸性泉酸性が強く、ピリピリとした刺激がある
含よう素泉よう素を含む
硫黄泉硫黄を含み、ゆで卵のようなにおいや白いにごりが特徴
放射能泉ラドンなどの放射性物質を微量に含む

「泉質」と「pH」は別もの。温泉は2つの軸で見る

温泉を比べるときに混同しやすいのが、「泉質」と「pH(液性)」です。

  • 泉質:お湯に「何が」溶けているか(硫黄、塩分、鉄など)
  • pH(液性):お湯が酸性寄りか、アルカリ性寄りか

たとえば万座温泉も満願の湯も、どちらも「硫黄」を含むお湯です。ところがpHを見ると、万座は約2.5の酸性、満願の湯は9.3のアルカリ性。同じ硫黄の温泉でも、性質は正反対です。

図:pHで見る温泉の位置

酸性(pH3未満)弱酸性(pH3~6)中性(pH6~7.5)弱アルカリ性(pH7.5~8.5)アルカリ性(pH8.5以上)
玉川 1.2・草津 約2.1・万座 約2.5-環湖荘(中性)釜ぶたの湯 8.3満願の湯 9.3・下呂(アルカリ性単純温泉)
← 刺激が強い・ピリピリ|トロトロ・ヌルヌル →

※pHの区分は環境省「鉱泉分析法指針」によるもの。数値は各施設・温泉地の公表値や代表的な源泉の値です。

硫黄泉:白く濁る・ゆで卵のにおいの正体

温泉地でするゆで卵のようなにおいは、硫黄泉に含まれる「硫化水素」のにおいです。温泉1kg中に総硫黄を2mg以上含むものが硫黄泉になります。

白く濁るのは、硫化水素が空気に触れて湯の花(硫黄)ができるためです。万座プリンスホテルの公式サイトでも、姥湯源泉はこの仕組みで乳白色になると説明されています。つまり、湧き出したばかりのお湯が透明でも、時間がたつと白くなっていくことがあります。

泉質名に「(硫化水素型)」と付いているものは、硫黄が主に硫化水素の形で含まれているタイプです。草津温泉の湯畑源泉もこの硫化水素型です。

硫黄泉に入るときのワンポイント

◆ ネックレスや時計などの金属は黒く変色することがあるので、外してから入る

◆ 硫化水素型の硫黄泉は刺激が強め。肌が弱い人は、最後にシャワーで洗い流すと安心

アルカリ性の湯:トロトロ・ヌルヌルの正体

「トロトロ」「ヌルヌル」と表現されるお湯の多くは、pHの高いアルカリ性の温泉や、炭酸水素塩泉です。

pH7.5以上の(弱)アルカリ性の温泉には、肌の角質をやわらかくする働きがあるといわれています。また炭酸水素塩泉には皮脂を乳化する作用があり、「美肌の湯」の代表格とされています。お湯の中で肌をなでたときに感じるヌルッとした感触は、こうした働きで肌表面の皮脂や角質が落とされるためだと説明されることが多いです。

今回の旅でいうと、pH9.3の満願の湯や、pH8.3でとろみがあると紹介されている釜ぶたの湯がこのタイプです。有名なところでは、日本三名泉のひとつ下呂温泉が、無色透明でとろとろとした肌ざわりのアルカリ性単純温泉として知られています。

アルカリ性の湯に入るときのワンポイント

◆ 角質や皮脂が落ちる分、入浴後は肌が乾燥しやすいので、湯上がりに保湿すると安心

比較表:硫黄泉・アルカリ性の湯・酸性泉

硫黄泉アルカリ性の湯酸性泉
見分け方泉質名に「硫黄」pH8.5以上、または炭酸水素塩泉泉質名に「酸性」、pHが低い
見た目白く濁ることが多い無色透明のものが多い温泉による
においゆで卵のようなにおい少ないものが多い硫黄を含む場合は硫黄のにおい
肌ざわり刺激強め(硫化水素型)トロトロ・ヌルヌルピリピリと刺激が強い
注意点金属の変色湯上がりの乾燥肌の弱い人、高齢者には向かないことも
例万座、草津、満願の湯下呂、満願の湯、釜ぶたの湯玉川、草津、万座

※草津や万座のように「酸性」と「硫黄」の両方の性質を持つ温泉もあります。満願の湯は硫黄泉でありながらpH9.3のアルカリ性です。

日本の有名温泉は泉質でどう違う?

温泉地主な泉質液性・pH特徴
玉川温泉(秋田)強酸性の温泉pH1.2国内で最も強い酸性。単一の源泉から毎分9,000リットルと、湧出量も日本一
草津温泉(群馬)酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)※湯畑源泉約pH2.1自然湧出量は日本一で毎分32,300リットル以上。日本三名泉のひとつ
万座温泉(群馬)酸性の硫黄泉(姥湯源泉)約pH2.5標高1,800m。知られているお湯は27種類
有馬温泉(兵庫)金泉:含鉄-ナトリウム-塩化物強塩高温泉/銀泉:二酸化炭素泉・放射能泉源泉による褐色の「金泉」と無色透明の「銀泉」。日本三名泉のひとつ
下呂温泉(岐阜)アルカリ性単純温泉アルカリ性無色透明でとろとろした「美肌の湯」。日本三名泉のひとつ
別府温泉(大分)多様(療養泉10種類のうち7種類)源泉による2,000を超える源泉から毎分80,000リットル以上。湧出量は日本一

有名温泉から見える傾向

  • 日本でいちばん多いのは単純温泉。刺激が少なく、子どもや高齢者も入りやすい泉質です。
  • 強い酸性・硫黄の温泉は、火山の近くに集まる。上の表でも、白根山のふもとの草津・万座、八幡平の玉川がpH3未満の酸性です。
  • 「美肌の湯」「美人の湯」はアルカリ性や炭酸水素塩泉が多い。下呂のようなトロトロ系のお湯がこのタイプです。
  • ひとつの温泉地にいくつもの泉質があることも。有馬の金泉と銀泉、別府の7種類の泉質、万座の27種類のお湯がその例です。

「日本三名泉」の由来

時代出来事
室町時代僧の万里集九が詩文集『梅花無尽蔵』で、草津・有馬・下呂(当時の表記は湯島)を優れた温泉として挙げる
江戸時代初期儒学者の林羅山が、この3つを「天下の三名泉」と称え、広く知られるようになる

酸性の草津、金泉・銀泉の有馬、アルカリ性の下呂と、三名泉は泉質がまったく違うのも面白いところです。

「源泉かけ流し」とは?加水・加温・循環の違い

意外と知られていませんが、「源泉かけ流し」は温泉法で定義された言葉ではありません。日本温泉協会では、浴槽に常に新しい温泉を注いであふれさせ、あふれたお湯を再利用しない状態を「源泉かけ流し(源泉完全放流式)」としていて、この表示をする場合は加水できないとしています。

図:かけ流しと循環式の違い

源泉かけ流し循環ろ過式
源泉源泉
▼▼
浴槽(新しいお湯を注ぎ続ける)浴槽
▼▼ ▲
あふれたお湯はそのまま排出ろ過・消毒して浴槽へ戻す

※かけ流しでも、源泉が熱すぎたりぬるすぎたりする場合は、加水や加温で温度を調整していることがあります。

加水・加温・循環・消毒の意味

用語やっていること主な理由
加水温泉に水を加える源泉が熱すぎるときの温度調整、湯量の補い
加温温泉を温める源泉の温度が低いとき
循環(ろ過)浴槽のお湯をろ過して浴槽に戻す湯量が限られているときなど
消毒・入浴剤塩素などで消毒する、入浴剤を加える衛生管理など

2005年5月24日からは、温泉法施行規則の改正により、温泉施設が加水、加温、循環(ろ過を含む)、入浴剤の添加や消毒をしている場合は、その旨と理由を掲示することが義務になりました。脱衣所などに貼られている温泉分析書の近くを見ると、その施設のお湯がどう扱われているかがわかります。

公正取引委員会は、加水・加温・循環ろ過などをしているのに「源泉100%」のように源泉をそのまま使っていると強調する表示は、消費者の誤解を招くおそれがあるとしています。

実際の例:温度調整の方法は温泉ごとに違う

温泉源泉の温度お湯の扱い
丸沼温泉 環湖荘48.0℃加水・循環・消毒なしの源泉かけ流し
下呂温泉最高約84℃源泉を集中管理し、加水・加温せず約55℃で各施設へ供給
万座プリンスホテル(姥湯源泉)約80℃熱交換と加水で温度を調整
秩父温泉 満願の湯25℃未満の冷鉱泉加温して利用

熱すぎる源泉はそのままでは入れず、つめたい源泉も温めないと入れません。加水や加温があるから入れる温泉も多いので、「かけ流しでないから悪い」ということではありません。大切なのは、掲示を見て、自分が求めるお湯かどうかを確かめることです。

温泉分析書の読み方:長い泉質名を分解する

温泉の泉質名のあとには、「(中性低張性高温泉)」のように、液性・浸透圧・泉温の3つの分類が付けられるのが通例です。環湖荘と草津の泉質名を分解すると、こうなります。

図:環湖荘の泉質名

単純温泉中性低張性高温泉
泉質液性(pH)浸透圧泉温

図:草津温泉(湯畑源泉)の泉質名

酸性・含硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物温泉(硫化水素型)(酸性低張性高温泉)
酸性泉でもある硫黄を含む主な陽イオン主な陰イオン硫黄の含まれ方液性・浸透圧・泉温

※泉質名は、ハイフンの前に陽イオン(ナトリウムやアルミニウムなど)、後ろに陰イオン(塩化物や硫酸塩など)を並べるのが基本の形です。

泉温・液性・浸透圧の区分

分類区分基準
泉温冷鉱泉25℃未満
低温泉25℃以上34℃未満
温泉34℃以上42℃未満
高温泉42℃以上
液性酸性pH3未満
弱酸性pH3以上6未満
中性pH6以上7.5未満
弱アルカリ性pH7.5以上8.5未満
アルカリ性pH8.5以上
浸透圧低張性溶存物質 8,000mg/kg未満
等張性8,000mg/kg以上10,000mg/kg未満
高張性10,000mg/kg以上

人間の体液の濃さは約8,800mg/kgで、等張性にあたります。満願の湯のように泉温が25℃未満の「冷鉱泉」でも、成分の条件を満たせば温泉です。

子連れで温泉を選ぶときに見ておきたいこと

3歳の娘と温泉を回って、泉質以外にも確認しておきたいことがありました。

確認したいこと理由・今回の例
子どもの料金とおむつのルール満願の湯は3歳から有料で、おむつを使っている子は入浴できませんでした
家族風呂・貸切風呂の有無環湖荘は家族風呂が予約不要・追加料金なしで、家族だけで入れました
泉質の刺激の強さ酸性泉は刺激が強く、肌の弱い人には向かないことがあります。万座はpH約2.5です
お湯の温度環湖荘の家族風呂は「あつめ」と「ぬるめ」の2つがあり、選べます

源泉かけ流しの施設では、小さな子どもの入浴に条件があることもあるので、出かける前に公式サイトや電話で確かめておくと安心です。

今回の旅で入った4つの温泉を比べると

施設泉質液性お湯の扱い
釜ぶたの湯(新潟・上越)ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉弱アルカリ性(pH8.3)源泉100%
万座プリンスホテル(群馬・万座)酸性の硫黄泉(姥湯源泉)酸性(pH約2.5)熱交換と加水で温度調整
環湖荘(群馬・丸沼)単純温泉中性加水・循環・消毒なし
満願の湯(埼玉・皆野)単純硫黄泉アルカリ性(pH9.3)冷鉱泉を加温

1回の旅行で、酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性と、性質の違うお湯を順番に回ったことになります。それぞれの温泉の様子は、旅行記と宿泊記にまとめています。

よくある質問

Q. 温泉の色が違うのはなぜ?

溶けている成分の違いです。硫黄泉は硫化水素が空気に触れて白く濁り、含鉄泉は鉄が酸化して褐色になります。単純温泉は無色透明のものが多いです。

Q. 日本でいちばん多い泉質は?

単純温泉です。無色透明でにおいも少なく、刺激が少ないやさしい泉質です。

Q. 「源泉かけ流し」と書いてあれば、加温もしていない?

源泉かけ流しに法律上の定義はなく、加温しているかどうかは施設によって違います。加水・加温・循環・消毒をしている場合は掲示が義務づけられているので、施設の掲示で確かめてください。

Q. 硫黄泉にアクセサリーをつけたまま入っていい?

金属が黒く変色することがあるので、外してから入るのが安心です。

Q. トロトロのお湯のあとは何に気をつける?

皮脂や角質が落ちやすい分、肌が乾燥しやすくなります。湯上がりに保湿しておくと安心です。

まとめ:入りたいお湯から逆引きする

こんなお湯に入りたい見るポイント例
白いにごり湯・硫黄の香り泉質名に「硫黄」「硫化水素型」万座、草津
トロトロ・ヌルヌルのお湯pH8.5以上、炭酸水素塩泉下呂、満願の湯
刺激の少ないやさしいお湯単純温泉、中性付近環湖荘
温泉らしいピリッとした強いお湯泉質名に「酸性」、pH3未満玉川、草津
湧いたままに近いお湯掲示で「加水・加温・循環・消毒なし」環湖荘

温泉は「何が溶けているか(泉質)」「酸性かアルカリ性か(pH)」「浴槽までどう届いているか(加水・加温・循環)」の3つを見ると、違いがぐっとわかりやすくなります。脱衣所の温泉分析書も、次に温泉へ行ったときにぜひ見てみてください。

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※泉質の区分は環境省「鉱泉分析法指針」、掲示義務は環境省の温泉法施行規則改正(2005年)、各温泉の情報は各施設・温泉地の公式情報などをもとにしています(2026年9月時点)。温泉の効能は医学的な効果を保証するものではありません。

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